先日、外出先のフードコートで、子どもがご飯を全く食べず立ち歩いてしまい、困り果てているママを見かけました。まるで少し前の自分を見ているようで胸が痛くなり、思わず声をかけたくなりましたが、飲み込みました。
見知らぬ人に急に話しかけられても驚くだろうし、その時に私が言いそうになった言葉に、すごく聞き覚えがあったからです。同時にものすごい違和感も感じました。
「大丈夫。そのうち食べるようになりますよ」
私はこの言葉を、よく知っている。
そして、「あのママが、いま欲しい言葉はそれではない」ことも…。
子育て上級者のアドバイスを、すんなり受け入れられないのはなぜか?
子どもがご飯を食べてくれないとすごく悩みますよね…。
うちの娘は1歳過ぎたあたりから偏食が始まり、座って食べないのはもちろん、限られたものしか食べないという時期がつい最近まで続いていました。
今でこそ、少しずつレパートリーは増えてきましたが、それでもまだ食べられないものの方が多いという状況です。
そういう悩みを保育士さんや栄養士さん、先輩ママなど周囲に相談すると、高確率で「そのうち食べるようになる」というアドバイスをいただきました。あたたかく励ましていただいて、本当にありがたいことです。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。紛れもなくそれは本当なんです。
…ですが、正直なところ少し前まではそれでも不安やモヤモヤが拭えない自分がいました。
なんでだろう。こんなに温かく色々な人に励ましてもらってるのに。希望のある未来を教えてもらっているのに。みんな口を揃えて「自分のせいではない」と教えてくれているのに…。
掘り下げて考えてみた結果、行き着いたのは「それは子育て上級者の思考だからではないか」という仮説でした。
【仮説】悩めるママが上級者のアドバイスを受け入れるためには段階を踏む必要がある
頭では解っているんです。そのうち本当に食べるようになるんだろうということは。白米しか食べない大人とか、少なくとも自分の周囲では見たことないです。
それが真理だとしても、現在進行形で悩んでいるママにとっては、あれこれと手を尽くしている最中なのもまた事実。おそらく「いずれ訪れるであろう未来」のイメージが沸かず、ピンとこないのではないかと思うんです。
私が思うに、悩めるママが子育て上級者の思考をすんなりと受け入れられるようになるには、「段階」を踏む必要があるのではないでしょうか。
初心者ママがいきなり上級者の思考を受け入れられないのは、「まだ自分には試していないことがたくさんあり、それをやり切ってからでないと次に進めない」と思っているからなのではないか。つまり、納得したい。
悩める頑張り屋のママは、まだ自分には色々とやれることが残っているのに、その段階をすっ飛ばしていきなり上級者の思考を取り入れるのはものすごく不安だし、抵抗があるのです。
そうやってママが試行錯誤を重ねていくうちに、年月は流れ、いつの間にか本当に子どもが自然と色々なものを食べるようになっているのではないでしょうか。そして、気付かぬうちに自身も上級者になっている…と。
本当に子どもはいつの間にか食べるようになってた。あの時きいた上級者のアドバイスは正しかったと、今なら解る。
そうして、晴れて上級者の仲間入りを果たしたママは、また次の悩めるママへ「上級者のアドバイス」をしてしまうのではないでしょうか。繰り返されるループ。
悩めるママが「上級者ママ」になるまでの発達段階
ならば、悩めるママが上級者へと至るまでの段階を可視化することで、自分の今の現在地を知り、辿るであろう未来を把握できるのではないか。
そうすれば、いずれ自分も上級者の思考になるということを受け入れ、ママの「いつまでこれが続くのだろうか」という不安も減るのではないだろうか。
つまり、アドバイスを受けるなら、自分のフェーズに合ったものを。
そういう思考で考えたのが、以下のリストです。
子どもが食べない時の対処法のアイデアリストでもあるので、子どもが食べなくて困っている時のヒントに使ってもらえればいいなと思いました。
一概には言えませんが、0〜2・3歳くらいの段階でしょうか。頑張り屋のママは、自分の努力で子どもが自発的にご飯をパクパク食べるようになると信じています。
もちろん、それで食べるようになる子もいるとは思います。でも、子どもにはイヤイヤ期というものもやってきますよね…。
- 混ぜご飯や炊き込みご飯にする
- おにぎり・おやきを作る
- ごはんをめっちゃ可愛くデコる
- 演技力で食欲を誘う
- ぬいぐるみと一緒に食べる
- 弁当箱に入れて特別感を出す
- 子どもと一緒にご飯を作る
イヤイヤ期もあいまって、そもそもイヤイヤ期も過ぎたのに、未だに食べない。これはどうしたことか…?
さすがのママも自分が頑張るのではなく子どもに合わせる方向にシフトし始めるのではないでしょうか。
- 食べる場所を変えてみる
- ご飯を座って食べなくてもよいと思う
- 一口でも食べられただけでよしとする
- メニューを固定化させる(食べれるものだけ食べさせる)
- 1人で食べられたとしても、あーんで食べさせてあげる
子どもに寄り添っても、何しても食べない。
もう自分にできることはやり尽くした。これ以上できることはもう何もない。
「あきらめる」とは仏教では「諦める」ではなく「明らめる」と書きます。意味は以下の通り。
1 事情や理由を明らかにする。 はっきりさせる。
「あきらめる」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
2 心を明るく楽しくする。 気持ちを晴れやかにする。
例えば、「隠れた発達特性や、うまく食べ物が飲み込めないなど原因があるのかもしれない。家庭内で頑張るのではなく専門家に相談しよう」と他の理由を探るため行動する。
または、「もう自分にできることはないのだから、いずれ食べるようになるってことにしよう。自分が楽なのが1番」と自分自身を大切にする方向へシフトする。
そうやって次のアクションを取ったり自分で自分のご機嫌を取ったりできるようになって、初めてママは「上級者」の仲間入りを果たすのではないでしょうか。
ママがそうなってから、割とすぐに子どもが自然と食べるようになったりして。
- これさえ食べれば良いと思えるものを1つ用意する(パン・ご飯・バナナ・ジュニアプロテインとか何でも)
- 一食くらい食べなくてもよいことにする
- お腹が空けば食べるだろうと思う
- 家で食べなくても保育園や幼稚園などどこかで食べてるならよしとする
- そのうち食べるようになると信じる
- 保育園や療育など、専門家に定期的に相談できる機会を作る
さいごに
分かりやすく分類するためにあえて3段階に分けましたが、この過程は全て地続きです。そして全てに共通して言えるのが、どの段階のママも素晴らしいということです。
どの段階においても、全てのママは目の前のことにきっと一生懸命で必死であることでしょう。一足飛びに上級者の思考までたどり着ける人もいるかもしれませんが、そのスピードは人それぞれだと思います。
願わくば、いま子どもの食について悩んでいるママが「いずれきっと未来はこうなる」という見通しをつけられて、少しでも気が楽になればいいなと思いました。
いまのご自分はどの段階でしたか?
いまの自分にできることや、まだやっていないこと、次に試してみたいこと。
または、もうやめたいこと、言って欲しい言葉は…?
もしお子さんがごはんを食べないことで悩んでいるママがいたら、少し考えてみてもらえたら嬉しいです。
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